2017.02.01
医療材料に識別コード(UDI)を付与し、「製造」、「流通」、「使用」の各段階で業務の効率化や資源の節約を進めようと、産官学の議論の場、「医療製品識別とトレーサビリティ推進協議会」が12月16日に発足しました。UDIは、これまで業界団体が検討し、製造、流通段階では一定程度普及しているが、医療機関ではあまり活用されておりません。今回、発足した協議会には、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会など、いわゆる「使用」サイドが正式メンバーとして参加しており、UDIを医療現場に、いかに普及・定着させるかにまで踏み込む考え。オブザーバーに厚生労働省を向かえ、行政とも足並みを揃えており、業界の本気度が伝わってきます。
●医療機関でのUDI普及は道半ば
UDIは10年以上前から、メーカー、流通が中心になって議論し、普及・定着を図ってきた経緯があります。厚労省の調査によると、2014年9月現在、医療材料で80%以上はコードが付与されており、すでに、「製造」「流通」の現場では、ある程度UDIの活用が進んでいます。一方、医療機関では300床以上の病院で50%程度、
300床未満では20%を切る程度の普及率で、低迷が続いています。しかも各医療機関が、院内物流管理(SPD)で使用しているのは統一化されたUDIではなく、自院完結型のオリジナルコードを採用しているケースも目立ち、普及はまだまだ道半ばです。
●特有の流通慣行是正も、UDI普及のカギ
「使用」と「流通」の狭間にある課題も横たわったままです。医療機関から医療機器流通業者への商品発注は、依然として電話やファックスが主流。少量多品種という医療材料の製品特性のため、受発注の窓口も集約化されず、UDI普及の妨げとなっています。医療機関に製品を預ける預託在庫といった特有の商慣行も存在し、その管理は所有権の問題もあって流通業者に任せざるを得ないという場合もあります。そのため、独自にSPDを行っている医療機関であっても、ほとんどが総合的な在庫管理機能を備えることが困難という現状もあるのです。
●診療報酬による誘導案も一考か
UDIには、「商品コード」「有効・使用期限」「ロット番号又はシリアル番号」の情報が入っているため、普及すれば受発注業務の効率化、死蔵在庫の減少、リコールなどの不具合発生時の迅速な対応などが期待されています。さらに、厚生労働省内で検討が進む、単回使用医療機器(SUD)の再製造などと絡めれば、院内で再滅菌した製品が流通することがなくなり、医療安全にもつながるとの期待も出ております。
初会合の席では、有識者委員から、UDIを活用している場合は加算、していない場合は減算を求める、診療報酬上の誘導策を主張する場面がみられたといいます。医療材料でUDIが普及すれば、上記のようなメリットが享受できるため、やや古典的な手法ではありますが、診療報酬による誘導策も一考の価値がありそうです。
【MEジャーナル 半田 良太】