2018.03.01
一度限りの使用で廃棄する医療機器(単回使用医療機器=SUD)を、分解、洗浄、滅菌、再組立てして、再利用する制度が創設されたことを受け、新たな産業創出を目指す企業9社(アイテック、オリンパス、サクラグローバルホールディングス、サクラ精機、ジョンソン・エンド・ジョンソン、第一医科、日本ストライカー、ホギメディカル、メディアスソリューション)が今年1月に「単回使用医療機器再製造推進協議会」を立ち上げました。新たな産業創出とともに、再利用によるコストダウン(医療費削減)の両立を目指す考えです。
●再利用SUD市場は年420億円 医療費削減効果は280億を想定
協議会によると、SUDの国内市場規模は約1.5兆円で、このうち、再利用に向いているのは1割弱の1400億円と試算しています。再利用に向くSUDのうち、半分の700億円は新品が占め、残りの半分は再製造品に置き換わると想定。推進協議会は、再製造品の公定価格の設定ルールはまだ決まっていないため、新品の60%と仮定をおき、市場規模を420億円と見込んでいます。つまり、SUDを再利用できるようになれば、当面、年間280億円の医療費削減につながると考えているのです。なお国内の医療機器市場の規模は約2.7兆円。再利用SUD市場は数%になるとみられます。
●海外でノウハウを持つJ&J、ストライカーが国内でも意欲
欧米では2000年代から、SUDの再利用が認められており、すでにJ&J、ストライカー、コヴィディエンなどが参入しています。今回発足した協議会の顔ぶれを見ると、海外勢では、ノウハウを持つJ&J、ストライカーの2社が、自社製品を中心に、国内でも再製造に乗り出すことが明確になりました。
●国内勢はホギメディカルが19年度の再製造品発売へ準備
一方、国内勢では、オリンパスも名を連ねており、内視鏡の洗浄・滅菌などのノウハウを、自社のSUDでも活かせないか、前向きに検討するということでしょうか。このほか、とくに積極的な姿勢を見せているのはホギメディカル。早ければ2019年度から、国の許認可を得ることを前提に、再製造品の発売を開始することを明らかにしました。再製造について、再製造工場の自動化、ロボット化を視野に入れ、新品と同等の品質で、コストダウンを図り、医療費削減に貢献したいと、強い意欲を示しています。
●行政との連携も視野
協議会は行政などに対して提言していく機能も併せ持っており、未定のままの価格設定ルールなどについても、意見具申していくことが見込まれます。また医療機関で在庫されたまま使用期限を迎えた、いわゆる滅菌切れ製品などの再利用についても、前向きに検討していきたいとの意向を持っています。
【MEジャーナル 半田 良太】