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コラム

医療材料コラム

第3期医療機器基本計画策定へ「中間とりまとめ」(案)

2026.04.01

厚生労働省は2027年度からスタートする、いわゆる「第3期医療機器基本計画(第3期計画)」の策定に向けた「中間とりまとめ」(案)を策定しました。2040年の将来像として、国際競争力を向上させ、医療機器の産業基盤を強化し、世界最高水準の医療を国民が享受できることを基本方針として掲げています。具体的な数値目標として、国内医療機器メーカーのグローバル市場の獲得額(売上高)を現在から1.8倍の28兆円と高く設定しています。さらに外資系を含めた医療機器メーカーの国内への年間投資額を2倍超の4.2兆円とし、国内発の製品で、既存品よりも高い医療保険上の評価となるC区分(新規機能区分)での保険収載を年間8件に倍増させるとしました。

●65歳超高齢者のピーク迎える2040年の医療ニーズに応える

第3期計画が見据える2040年は、国内で65歳以上の高齢者数がピークを迎え、医療ニーズが最大化する時期に重なります。さらに、医療機器の研究開発には最長10年程度かかることを勘案し、第3期計画のスタートから13年後をゴールとして設定しました。
 2040年は、国内の事業環境も厳しさを増しています。少子高齢化がさらに進展していることから、革新的な製品を開発する医師や研究者の確保が困難であり、不透明な世界情勢の中で医療上必要な医療機器へのアクセス確保をどう実現するかという課題が顕在化するのではないかと懸念しています。
 そうした中で、政府、医療機器メーカー、アカデミア、医療関係者が連携し、これらの課題を克服し、世界から信頼され、優れた医療機器を安定的に供給することで、“豊か”で“健やか”、“安心”な社会の実現を目指すのが、第3期計画の骨格です。当然国内市場だけでは成長が見込めないことから、米国を中心とする先進国市場のほか、新興国市場へのアクセスも不可欠と位置付けています。

●第3期計画と政府の成長戦略は密接にリンク

医療機器基本計画は、開始まで約1年の時間が残されていますが、高市早苗内閣が、2026年夏にもまとめる日本成長戦略とリンクさせる必要が生じています。医療機器は「創薬・先端医療」の一部門として、成長をけん引する役割を担うことが期待されており、厚労省は、第3期計画の議論に先立って、優先的に取り組むべき施策として(1)新領域創出につながる「医療機器産業振興エコシステムの形成」(2)新興国市場を見据えた「国際展開の加速化」(3)医療の省力化・均てん化に資する医療機器等の開発・普及(4)産学官連携による「人材育成・活用の推進」(5)「医療機器の安定提供体制の確保」(6)「サイバーセキュリティ」を、「中間とりまとめ」(案)の中に盛り込みました。

●スタートアップを中核とする「エコシステム形成」が施策のコア

優先的に取り組むべき施策6項目のうち、最もコアとなるのは「エコシステムの形成」です。スタートアップは、革新的医療機器の創出を担う主体と位置付けられ、すでに外資系企業などはM&Aを通じてスタートアップからシーズ(成長の種)を獲得し、イノベーティブな製品の市場投入につなげています。国内メーカーも、外資系企業をキャッチアップするうえで、こうした動きを加速させなければなりません。
 厚労省はスタートアップと既存企業との共創を促すため、日本の強みとなり得る戦略領域として期待される「デジタル(SaMD、AI等)、ロボット技術(手術支援、省人化等)拠点」「循環器・脳神経領域拠点」「革新的な医療機器拠点(全般)」の機能を強化・拡充する考えです。スタートアップを中心に、すでにAMED(日本医療研究開発機構)などの支援を受けている新規プロジェクトの中から、こうした拠点や、有識者の意見を踏まえ、有望な“金の卵” に絞り込んで、開発を加速化させることを目論んでいます。
 “金の卵”を早期に実用化するためには、選定後の取り組みも強化しなければなりません。厚労省をはじめとする関係省庁は、開発後期に必要となる柔軟性の高い大規模な研究開発資金の確保、試作機の制作支援、デジタル領域を含めた迅速な保険相談の体制強化などに向けて、26年の予算概算要求などで必要な資金の確保を目指すことになります。「責任ある積極財政」を掲げる高市政権ではありますが、医療機器に投資をすれば、将来にリターンが約束されるという青写真を描き、財務省を納得させることができるかどうか、厚労省をはじめとする各省庁の力量が試されます。
 いわゆるトランプ関税やウクライナ戦争に加え、イランとイスラエル・米国との戦争が勃発しました。インフレで物価が上昇している中、資源の乏しい日本で、石油などのエネルギーを安定的に比較的安価に確保することの重要性が再認識されました。そうした中で、医療機器産業が外貨を稼ぎ、日本経済をけん引する産業として独り立ちすることができれば、日本を含む世界の医療への貢献にとどまらず、日本全体が抱える諸課題解決の一助となることは間違いありません。大いに期待しています。

【MEジャーナル 半田 良太】

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